お悩みQ&A 普通学級では支援できないがそれでも良いかと言われた(会報2025年4月号より)

東京都・運営委員 片桐健司

〈相談〉 小学校6年生です。小学校では特別支援学級でしたが、中学は普通学級へ行きたいと教育委員会に申し入れたところ、初めはなかなか認めませんでした。
あきらめずに何度もこちらの希望を伝えたところ「普通学級に入ってもいいが、支援はできない」と言われました。本当に支援してもらえないのでしょうか。

〈お答え〉 そんなことはありません。文部科学省は、特別支援教育を始めるにあたっての国会答弁(2006年6月)で「普通学級で学ぶ障害のある子どもたちはこの法律(学校教育法75条)のどの部分にあたるのか」という質問に「教育上、特別の支援を必要とする児童、生徒の部分に該当する」と答えています。つまり、特別支援学級、特別支援学校だけでなく、普通学級でも障害児に対しての支援をすると言っています。もっともこれは当たり前のことで、子どもの権利条約23条では「障害をもっている子どもが…、申し込みに応じた援助を…確保する」となっていますし、障害者権利条約でも障害児が一般の教育から排除されないこと、その教育の中で合理的配慮がされなければならないことが明記されています。もっと言えば、日本国憲法(26条)で教育を受ける権利は保障されているわけですから、障害児だからと言って「支援しない」=「教育しない」ということは、ありえないのです。
 長い間「分離教育」を続けてきた日本の教育委員会や学校は、普通学級では支援しなくてもいい、支援は特別支援学級、支援学校でやればいいとの思いこみがあるようですが、それは全くの勘違いです。
 どの場にあっても子どもの教育は保障しなければいけません。それが、当然の学校の仕事です。「普通学級では支援しない」と言うのは、その子を普通学級に入れさせないための親子への脅しにもなっていてゆるせることではありません。教育に携わる機関がこういう「いじめ」をしていること自体が日本の教育の問題です。
「普通学級にいる障害児には教育しなくていいのですか? それは差別ですよ」と教委に伝えましょう。

*その後、この方から「市教育委担当から連絡があり、就学予定先の中学校校長が普通級でどんな支援をするか保護者の希望を聞きながら話し合いを設けたいと言ってきました。そして保護者の意向を無視して在籍の話をし続けてすみませんでした、と言ってきました」という連絡がありました。内部で誰かが言ったのか、外部からの注意があったのかわかりませんが、自分たちがこの方に言っていたことが間違っていたことに気が付いたので しょう。よかったです。子どもが楽しく充実した学校生活ができるように、してほしい支援の内容をしっかり伝えましょう。