お悩みQ&A 付き添えないなら支援級へ行かされる? 会報2024年7月号から
東京都・運営委員 片桐健司
〈相談〉 学校から親の付き添いを要求されています。「付き添えないなら支援級に行ってくれ」という態度です。障害を持つ子が普通級に入ることの「法的」な決定権は誰にあるのでしょう? 私たちは学校側に普通級に「入学させてもらっている」のでしょうか。
〈お答え〉 親が付き添わなければいけないという法的根拠はありません。また、付き添わなければ特別支援級にいかなければいけないということも全くありません。国際的には障害者権利条約によって、インクルーシブ教育を推進することが言われています。これは国際条約ですし、日本も批准していますから、どの子も普通学級で学ぶことは否定するどころかむしろ勧められるべきことです。憲法では、国は子どもたちに教育を保障しなければいけない責任をおっています。子どもは等しく教育を受ける権利があります。障害のある子に親の付き添いを要求することは、障害による差別になります。(子どもの権利条約)。ですから、学校のやっていることは、明らかに間違っています。文科省も、親に付き添いをさせろなんて言うことはひとことも言っていません。私たちが文科省との話し合いで、親が付き添いをさせられていることを追及すると、それは親が希望してやっているとか、親が承諾しているとか言ってごまかします。付き添いは、こちらがしないと言えばしなくていいのです。付き添いをさせることについて法的根拠はないのに罰則規定がないので、学校がさせることについて、問題にされにくいのが現実です。
就学先の決定権は教育委員会にありますが、本人保護者の意向尊重(障害者基本法16条)ということがありますので、普通学級に入った児童を親の承諾なしに特別支援級に行かせることはできません。同じ学校に支援級がある場合、強引に支援級に行かせた例があって、その時の判例では、決定権は校長にあるというものがありました。日本の司法はそういう点で非常に問題がありますが、今の時代、親の意向を無視することは許されません。はっきり断るのが一番よいと思います。
学校は、障害のある子が普通学級に入っているからには何らかの負担を親に負わせないと気がすまないのでしょう。子どもの安全のためというかもしれません。ただ学校ではどの子も安全ではないのです。その安全を学校は責任を持って守らなければなりません。「他の子の安全は守ります。でも障害のある子の安全は守りません。この子の安全は親に守ってもらいます」というのは差別です。また「障害」があるから危険というのは、障害に対する偏見です。これも差別です。全く健康な子が体育の授業中に突然倒れることだってあるのです。障害のある子に親につけと言うなら,全ての親にそう言わなければなりません。遠足でも、水泳でも同じです。学校とやり合うのは大変かと思いますが、がんばってください。