お悩みQ&A 着替えられないならプールには入れない?

 東京都・運営委員 片桐健司

〈相談〉 小学1年生です。子どもは夏になってプールに入るのを楽しみにしていましたが、着替えがゆっくりだったり、うまくできなかったりしたら、これではプールに入れられませんと学校に言われました。うまく着替えられない子はプールに入れないのでしょうか。

〈お答え〉 水泳指導も教育課程の一つです。子どもには教育を受ける権利があり、学校は子どもを教育する責任があります。子どもが授業を受けられない状況にありながら、それを学校が放置しているということは、子どもを教育する責任がある学校が、子どもの教育権を奪っていることになります。
社会では、困っている人がいれば気がついた人が助けるのは当然です。学校でも子どもたちにそのように教えていると思います。その学校が、着替えができないことを理由に子どもの授業参加をさせないというのは、明らかな障害者差別です。できないことがわかっているのであれば、手のあいている誰かが手伝えばいいのです。
プールに入るのを禁止することではなく、なんとか参加できるように工夫することが教育者の役目ではないでしょうか。最近の相談でも、シャワーが浴びられないからプールに入れてもらえない、おむつをしているからプールに入れてもらえないなど、プールに入れてもらえない話が多いです。学校は、子どもに教育を受けさせることより、受けさせないことに必死になっている、そんな感じがしてなりません。

なぜ、そういう発想になるのか、「障害児はここにいてはいけない」という考え方が根底にあって、ここにいてはいけない子にはあらゆる意地悪をして、ここにいさせないようにしようという「工夫」がこういう意地悪になっているのだと思います。これは、いじめです。いじめがあってはいけない学校で、先生たちのいじめがまかり通っているのです。「ここにいてはいけない障害児」には、何をしてもいいんだという。
  どの子も授業に参加させたいと思う先生たちは、そんなことはしません。おむつをしている子がいても、普通にプールに入れます。もし、誰かから「心配」という声があがったら、「文科省の基準で消毒しているから大丈夫です。保健所でも大丈夫と言っています」と答えるでしょう。冷たいシャワーのあびられない子がいたら温水シャワーを使うとか、そばで水のかけっこをして体を流してあげるとか、着替えの苦手な子がいたら手伝ってあげるとか、それだけの話です。それもしようとしない学校、先生。学校で子どもたちに何を教えているのでしょう。「子どもの学ぶ権利を奪うな」と、堂々と抗議してください。