お悩みQ&A  特別支援学級では「支援」してくれないのでしょうか 2024年9・10月合併号より

東京都・運営委員 片桐健司

Q 小学校高学年です。特別支援学級に通っています。担任は、「行動が遅れる」「他の子といっしょの行動ができない」「机の上に椅子をのせてすわろうとする」など不適切な行動が多いと子どもの悪いところばかり伝えてきて、特別支援学校に転校するように言ってきます。特別支援学級では子どもの支援はしてくれないのでしょうか。

A 特別支援学級だから、特別支援学校だから、子どもを「支援」してくれるわけではありません。お話を聞く限り、この学級では子どもを「支援」しているとは言えませんね。「支援」どころか、子どもをよくない方向へわざわざ向けているように思います。

特別支援学級でも特別支援学校でも、「専門」の教員が子どもの支援をしているように思われがちですが、本当の意味での「専門」の教員はいません。それにしても、特別支援学級でありながら、子どものことを理解しようとしない先生がいるというのは残念です。子どもに大切なのは、「特別」な支援ではなく、「あたりまえ」の支援です。このお子さんの場合、子どもの行動を「不適切な行動」ととらえていることがおかしいです。いろいろできないことがあったり、いたずらしたりするのが子どもです。その子がどうしてそうするのか、子どもといっしょに考えるのが先生の仕事です。先生にとっては「不適切」でも、子どもにはそれなりの理由があります。ゆっくりの子には「ゆっくりでいいんだよ」と声をかけたらどれほど子どもは安心するかわかりません。いたずらする子には先生もいっしょにいたずらをしたら、そこに子どもと先生の信頼関係が生まれるかもしれません。
「あなたは、いけない子。あなたは悪い子。」と思われ続け、言われ続けたら、子どもは当然先生に反発するでしょう。そしてますます「不適切」な行動をするようになると思います。高学年になるまでずっと自分を否定され続けたら、子どもの心はゆがみます。

特別な支援はいりません。あたりまえの支援、それは、子どもに寄り添い、子どもの心を和らげるとともに子どもの良さを見つけることです。できないことを指摘するのではなくて、できること、できたことを見つけ、喜び合う、それが「支援」だと思います。

担任には、「この子の良さはどこにありますか」と聞いてみましょう。「悪いところは親もわかっているので、いちいち言ってくれなくてよろしいです。これからは子どもの良いところを見つけて教えてください」と言ってみてください。特別支援学校を勧める担任には「特別支援学校では、こういう子にどういう教育をしているかご存じですか?」と聞くのもいいでしょう。教えてくれたら「先生がうちの子にもそのように対応していただければ、転校しなくてすむのではないですか」とでも言ってみたらどうでしょう。