お悩み相談Q&A 高学年になって勉強がついていけないのが心配 (会報2025年3月号より)

東京都・運営委員 片桐健司

〈相談〉 小学校低学年です。字を書いたり計算をしたりすることはできるのですが、テストの問題の文章が読み取れず、点数がとれません。高学年になって、理科も社会も始まるし、勉強が難しくなったらついていけるか、自信をなくさないかと心配です。特別支援学級を考えたほうがいいでしょうか。

〈お答え〉 勉強は、人についていくものではなくて、その子自身が身につけていくものだと思います。低学年で、字が書けたり計算ができたりするなんてすごいことです。私が教員時代受け持った低学年のクラスのことを思い出すと、30人ぐらいのクラスで字の読み書きの苦手な子は一人、二人いました。足し算、引き算も繰り上がり、繰り下がりになるとうまくいかない子が数人はいた気がします。
 そういった子たちになんとか文字や計算ができるようになってほしいと、私なりにがんばりましたが、なかなかうまくはいきませんでした。
 Aさんは、1年生のとき、なかなか字が読めませんでした。国語の時間に順番に教科書を読むときには、担任が読んでその後同じように読んでいました。そのうち、近くの子が小さい声でそっと読んであげてそれに合わせて読んだりしていました。2年生になっても初めのうちは字が読めませんでしたが、あるとき、自分で教科書を読んでいました。いつの間にか字が読めるようになっていたのです。それにつられるように漢字も少しずつ読み書きができるようになりました。
 子どもによって、何かができるようになる時期はちがいます。私の知っているある子は、中学生まで字の読み書きができませんでしたが、高校生になってひらがなの読み書きができるようになりました。みんなと同じようにできなくてはいけないということはないと思います。その子の成長を長い目で見てあげてください。決して、できないことを責めたり叱ったりしないで、できたことをしっかり認めてあげられたらと思います。
 算数などで文章の問題を解くことは、おとなでも難しいものです。文の意味を読み取ることも難しいし、それが具体的にどういうことなのか、自分の生活体験とかかわりがなければなかなかできるものではありません。できなくても気にすることはないと思います。それよりも、いろいろな体験をたくさん積んであげてほしいと思います。
 理科や社会は、全部理解しようとか、覚えようとか思うと大変かもしれませんが、ふだんできない体験ができるという意味では、テストの点数にとらわれなければ、楽しい学習になるかと思います。
 そういう学びの中で、その子自身が学びたいこと、もっと知りたいことへの意識が芽生えればいいのかなと思います。特別支援学級では理科や社会がないところが多いと聞きます。たくさんの友だちに囲まれて、友だちからの刺激を受けながらその子がついていかれるかどうかではなく、その子なりの学びを大切にしてあげてください。