動け!総括所見実現 2・21院内集会開催! (2025年3月号より)
障害児を普通学校へ・全国連絡会 事務局長 佐野公保
障害者権利条約について初めての日本審査(建設的対話)が行われた2022年8月、スイス・ジュネーブの国連に日本からは約120名の当事者団体等の傍聴団が結集しました。傍聴・プライベートブリーフィング・ロビーイングなどを行ないました。全国連も参加者を送り出しました。そして9月、国連障害者権利委員会は総括所見を出しました。日本政府への勧告です。
総括所見に多くの懸念と要請がなされたように、日本政府の取り組みは全く不十分であることが審査においても明らかでした。総括所見はきっぱりと日本の分離教育の廃止を言っています。全国連も訴えた普通学級就学希望が拒否される実態に対して、通常の学校が障害児の就学を拒否できないことを明確にする「就学拒否禁止」を政策とすること、合理的配慮を保障することなども勧告されました。私たちはこの勧告を歓迎しましたが、政府文科省はすぐさま指摘された「特別支援教育中止」をしないと文科大臣に会見で言わせました。
私たちはもう40年以上、「共に生きる社会は学校から」と共に学び育つ教育を求めてきましたが、進んでいないのが実情です。毎年毎年全国でたくさんの子どもたちが、望まないのに学ぶ場を分けられ、お互いが共に学び、共に生きる社会へと向かう道を阻まれています。私たちは、勧告を受け入れて、総括所見を実現させるように申し入れたり、交渉で迫ったり、集会で声をあげたりしてきました。しかし、政府文科省は頑なに分けることにこだわり、「インクルーシブ教育」をことさら「インクルーシブ教育システム」などとねじ曲げて分離教育を温存しようとしています。これまでと変わらないままの特別支援教育をやめず、むしろ拡大して分離を一層突き進めているとさえ言えます。
勧告が出されて2年が経っても総括所見が言うところは何にも変わっていません。世界でインクルーシブ教育が言われ、国連障害者権利条約ができても、国連障害者権利委員会から総括所見が出されても、日本政府文科省は、それを進めていません。
私たちは、総括所見の言っていることを実現させていきたいと思っています。それが、この日本の教育に、共に生きる社会に必要です。不登校やいじめなどの教育問題を、社会の課題として、政治の課題として解決をしていくことが必要です。総括所見が、「国の教育政策」とか「国の行動計画」とか言うのも、まさに国の政治として取り組めということだと思います。私たちはこれまでも文科省や教育委員会に訴えてきましたが、そうした中にいる官僚だけで議論ができるはずがありません。もっともっと国会で議論をしてもらいたいと思います。必要な立法も考えてもらわなければなりません。熟議が言われる今はまさにその好機ではないでしょうか。旧優生保護法の問題のように後で司法の問題になる前にです。
私たちが院内集会を開催しようと考えたのは、立法府に当事者の声を届けるために、国会議員に直接声を届けようと考えたからです。私たちの問題を政府に訴えるのを助けてもらおうというのではなく、私たちの問題を自ら担っている政治の問題として取り組んでもらおうと考えたのです。員会館の中で、まず私たちが集まって総括所見を実現したいという思いを訴え、その場にできるだけ多くの議員の皆さんに、秘書の皆さんに来てもらいたいと考えました。できる限りいろいろな党派の議員の皆さんに来てもらいたいと考えました。
院内集会は、全国からの会場いっぱいの参加者で開催できました。まず、私たちと思いを共有する何人もの方々に条件も不十分な中でその思いを訴えてもらうことができました。そして、多くの議員、秘書の方々も参加してくれました。何人もの議員から総括所見実現への決意のこもった発言がありました。院内集会の意図したことは通じたのではないでしょうか。総括所見の実現に、「動け」、という政治的な目標を議員ら政治を担う方々に訴えることができたと思います。この集会の開催にあたり舩後靖彦参議院議員には大変お力添えをいただきました。舩後議員の所属するれいわ新選組だけではなく社会民主党、立憲民主党などの議員や秘書の方々0人もの参加をいただきました。本当にありがとうございました。
今集会で感じたこうした政治的な力をこの先につなげて、総括所見実現、共に学び育つインクルーシブ教育実現へと向かっていきたいです。その一歩として「普通学級就学希望を拒むな!」を求めていきます。集会に参集された皆さんとともに、立法の要求等その実現をめざします。これからさらによろしくお願いします。
2・21院内集会は、何よりも総括所見への思いを共有する多くの皆さんの賛同の声に支えられて開催することができました。ありがとうございました。
