ご参加を!! 6月13日・14日 文科省交渉 総会 世話人会 ~国連2022年総括所見(勧告):インクルーシブ教育の実現を求める(会報2025年5・6月号)
障害児を普通学校へ・全国連絡会 事務局長 佐野公保
「普通学級就学希望を拒むな!」と掲げた「2・21国連2022年総括所見(勧告)実現を求める院内集会」、多くの皆さんが集まりました。実現を求める思いを共有しました。何人もの議員も駆けつけてくれました。集会アピールを確認しました。その内容を突き出して文科省交渉をします。集会で話されたこと、思ったこともぶつけましょう。
総括所見実現の動きは進んでいません。いや、進まないどころか、ますます分離分断が進んでいるように思えます。その実態も示しましょう。文科省交渉に結集をお願いします。
総括所見を実現させていくことは簡単にはいかないことはわかっています。政府は旧優生保護法違憲判決を受けて「障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現」と言っても、心のバリアフリーとか、交流及び共同学習の推進ぐらいしか言わないのですから。
それに対して私たちはどう向かっていくのか。文科省交渉でも迫っていきますが、私たちの中でもうんと話し合いましょう。総会で話しましょう。世話人会でも話しましょう。
文科省交渉と総会、今年は一体として取り組みます。これまでは例年のように3月に取り組むことが多かったと思います。みんなで交渉しようというその時々の問題もありましたが、折角集まるんだからみんなで文科省と交渉しようということでもあったと思います。文科省交渉が大いに有効であったかどうかを振り返ると、権限もなく出てくる文科省の人たちはかたくなな回答や態度、言い逃れに終始していました。文科省のそうした施策のありように当事者である子どもや親はひどく傷つけられてきました。それに対しての怒りを持ち続けてきました。そして、その一方で落胆させられてきました。それでも、私たちは迫っていきます。可能な方法があるなら最大限の手をつくし迫っていきましょう。
可能な方法を、さらにそれを考えていくために、総会で、世話人会で議論しましょう。
括所見の実現という、難しいけれど大きなチャンスでもある今、落胆はしていられません。みんなで実現の道を開きましょう。
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文科省交渉への要請書!
文部科学大臣
阿部俊子 殿 2025年4月25日
インクルーシブ教育についての要請への回答、及び話し合いの要請
障害児を普通学校へ・全国連絡会
代表 長谷川律子
私たちは過日参議院議員会館において集会を開催し、参加者で集会アピールを発し共有しました。集会アピールは文部科学省と政府へ要請することとなっています。
以下の通りです。
「『普通学級就学希望を拒むな!』
2・21 国連2022 年総括所見(勧告)実現を求める院内集会」アピール
私たちは、共に学び育つインクルーシブ教育の実現を求めています。そのためには2022 年の国連勧告(総括所見)の実現が必要です。しかし、政府文部科学省は、障害者権利条約を批准しておきながら、その実施を頑なに拒否しています。
私たちは国会議員の方々に訴えを届けたいと本集会に参加をお願いし、党派を超えて議員に本気になって取り組んでほしいという気持ちをお伝えしました。
本日の集会に向けて全国の共に生き、共に育つことを願う多くの方々から共感と賛同のメッセージをいただいています。
昨年7月3日には最高裁が旧優生保護法は立法時に遡って憲法違反であったとして、国に賠償を命じました。これは、原告が全面勝利しただけではなく、優生思想による障害者差別と闘っているすべての人々の勝利でもあります。
この判決を受けて「真摯に反省し」と公言する内閣府が設置した「障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部」(本部長 石破茂首相)は、昨年末に「行動計画」を出しました。しかし、「障害のある人とない人が共に学び共に育つ教育を推進すること」と言いながら、その中身は交流及び共同学習、心のバリアフリーの指導と、従来の分離教育から何も変わっていません。現在の日本政府は最高裁判決を理解していないことは明らかです。
これでは障害者は学校で分けられた上に、職場や地域社会でも、一生他の人々からは切り離されたままです。2022 年に国連障害者権利委員会から日本政府に出された総括所見は、共に生き育つ教育を進めるインクルーシブ教育だけではなく、障害のある人もない人も共に地域社会で生きていけるように大幅な政策の転換を求めています。
私たちは、文部科学省と政府に対し、国連勧告(総括所見)と、旧優生保護法違憲判決を真摯に受け止め、全面的な法制度の点検と改正に向けて、障害児・者の人権を保障するために以下の5項目を要請します。また、その実現のために、議員の皆様には、国会においての取り組み、根本的な論議を期待します。
1.障害のある子どもの普通学級への就学・転入希望を拒否しないこと
2.親子の合理的調整(配慮)の求めに真摯に応じること
3.子どもの多様性を尊重し、普通学級の競争的な教育をやめること
4.高校入試での定員内不合格をなくし、希望者全入にすること
5.教員へのインクルーシブ教育・人権モデルに関する研修を行うこと
2025年2月21日
国連2022 年総括所見(勧告)の実現を求める院内集会参加者一同集会アピールは以上です。
要請内容についてあらためて以下に記します。5月20日までにご回答をお願いします。その上で、6月13日に話し合いを求めます。ご検討をよろしくお願いします。
記
1.障害のある子どもの普通学級への就学・転入希望を拒否しないこと
具体的には、就学先決定において合意形成ができなかった場合は本人・保護者の意向を尊重する趣旨の通知の発出を求めます。
2.親子の合理的調整(配慮)の求めに真摯に応じること
就学にあたっては、また就学してからも、合理的配慮がどのようにあるかはインクルーシブ教育を受ける権利に大きく関わります。各自治体に、共に学ぶための合理的調整(配慮)をどのように行っているかを調査してください。
3.子どもの多様性を尊重し、普通学級の競争的な教育をやめること
不登校、いじめ、自死の増加は、多様性を認めない、競争的な今の学校の有り様が深く関わっているのではないでしょうか。特別支援学級や特別支援学校に通う子どもの増大も本質的には同じです。総括所見のいうように分離教育を廃止してください。
4.高校入試での定員内不合格をなくし、希望者全入にすること
高校授業料無償化が進められることになりましたが、障害を持った子どもも含め対象のすべての子どもが高校に行けることを保障しないなら、重大な不公平です。現状においては定員内では不合格をなくすように自治体に通知をしてください。将来的には、公平な無償化の制度として希望者全入の制度にしてください。
5.教員へのインクルーシブ教育・人権モデルに関する研修を行うこと
総括所見では、「普通教育を担う教員のインクルーシブ教育に関するスキルが欠如していること、およびインクルーシブ教育に対して否定的な態度を示していること」を懸念しています。学校現場は多くの人権侵害が生じています。総括所見にそった研修を求めます。
以上