お悩みQ&A 学童保育で子どもの安全について確認したいと言われた(会報2025年5・6月号より)

東京都・運営委員 片桐健司

〈問い〉 小学校低学年で知的障害があります。学童保育に入るときに、子どもの安全について確認したいと言われました。子どもは、トイレの自立ができていないこと、ふらっとどこかへ行ってしまう可能性があることで、不安はあるのですが、それを言うと学童に来てはいけないとか、付き添うようにとか言われそうで心配です。どのように対応したらよいでしょうか。

〈お答え〉 子どもの安全をお願いしたら、それなら来ないでくださいと言われそうだという話はよくありますね。でも、普通の子だったら安全に気を配らなくていいのかと言えば、そんなことはありません。「健常」児なら安全ということはないのです。子どもがたくさんいれば何がおきるかわかりません。それだけに学校でも学童保育でも、どの子に対しても安全には配慮が必要です。障害がある子だけが「危険」だという考え方は、障害に対する偏見だと思います。不安な点を伝えたうえで、「他の子の安全を守るように、うちの子の安全も守ってください」と伝えましょう。
 障害児について「安全が保障できない」と言われたりすることがありますが、それは「障害を理由とした差別」になります。他の子は守りますがこの子は守りません、と言っているのと同じです。「ふらっとどこかへ行ってしまうことがある」などの情報があれば、何をするかわからない子どもたちに比べれば気を配る課題がはっきりしているので、より安全を守りやすいことになるかと思います。
 「障害を理由とした差別」とは、他の子にはすることを、障害のある子にはしないということです。障害のある子の親に付き添いを言ってくることがよくあるかと思いますが、他の子の親には付き添いを要求しないのに、障害のある子にはそれを言うとすれば、それは「障害を理由」としているので差別になるのです。障害を理由とした差別は、子どもの権利条約でも障害者権利条約でもしてはいけないことになっています。
 障害のある子のリスクは親に負わせなければいけないという考えが古くからあって、学校でも役所でも、その考えが抜けていないような気がしますが、それは間違いです。行政がそれを保障しなければいけません。「障壁」を取り除くのは行政の責任です。堂々と子どもの安全を要求してください。