文科省交渉・総会・世話人会を終えて(会報2025年7号より)
障害児を普通学校へ・全国連絡会 事務局長 佐野公保
前号会報(5・6月合併号)に、
「総括所見実現の動きは進んでいません。いや、進まないどころか、ますます分離分断が進んでいるように思えます。その実態も示しましょう。文科省交
渉に結集をお願いします。
それに対して私たちはどう向かっていくのか。文科省交渉でも迫っていきますが、私たちの中でもうんと話し合いましょう。総会で話しましょう。世話
人会でも話しましょう。
私たちは迫っていきます。可能な方法があるなら最大限の手をつくし迫っていきましょう。可能な方法を、さらにそれを考えていくために、総会で、世
話人会で議論しましょう。
総括所見の実現という、難しいけれど大きなチャンスでもある今、落胆はしていられません。みんなで実現の道を開きましょう。」
と書いて参加を呼びかけた6・13文科省交渉、世話人会、6・14総会が終わりました。
全国連は大きな団体ではありませんが、会員はその名の通り全国にいます。各地には世話人として活動している会員もいます。そのような各地で運動をしている会員が今回のように東京に結集することはなかなか大変なことです。あえて2日間にわたって行う こともその所以です。それでも今回北海道から九州まで、49人もの人たちが文科省交渉の場、参議院議員会館に集まりました。福島みずほ参議院議員事務所の労で文科省より4名の方が出席して話しあいました。世話人会も多くの発言で時間が足りなくなりました。懇親会も持ち、そういう席ならではの思いつきや気づきが語られていました。
翌日の総会も会場いっぱい、時間いっぱいの話し合いになりました。集会開催の大変さの本音や運動を進めるための大胆また慎重な意見のやりとりもありました。運動の現実的な課題も語られました。
来賓としてDPI、日教組にもご参加いただき、連携について考えることもできました。それぞれの内容については、記録担当、報告担当から別途に報告がされていますので、関わる資料ともども読んでいただきたいです。
さて、今度は呼びかけたことがどうだったんだろうかと考えています。これから会の中でも考えあい、具体的な行動、取り組みを進めていきます。ここでは、そのために、いくつか私の思ったことを書かせてもらいます。
文科省交渉は有効な手段なのか?
文科省へは2月に行った院内集会でのアピールをあらかじめ要望としてだして、事前回答を受けて交渉に臨みました。私たちにとって回答は非常に不十分であり、当日はあらためて要望と会員からの具体的な声をぶつけました。文科省の出席者は、聞かれていることには十分答えず、一方で周知徹底できていない点がある場合は検討するとは言いました。しかし、条約の内容については文科省の理解、考え方は正しく、それに基づいた制度で行っているという姿勢は頑なで決して変えることはありません。文科省からの出席者にはそれを超えて答える権限はないのです。おそらく、もし文科次官がでてくるようなことがあったとしても、いや、文科大臣でも同じではないかという気がします。この国の姿勢です。文科省の「さじ加減」程度のことを求めていくしかないのなら、堪りません。
どう突破するのかを考えたい
だとしたら、一体どのようにしたらこの国の教育をインクルーシブ教育に変えていくことができるのでしょうか? 文科省は、今やっている教育は正しいと言い張っています。国連勧告があっ
ても、自分たち文科省の理解ではその趣旨に合っていると言っています。それに対して、「違うでしょう、改めなさい」と言い、文科省に、「改めます」とどうしたら言わせことができるでしょうか?国会にか、議員にか。政党政治のもとでは政党にそれを求めるしかないのでしょうか? それならば、それを考えましょう。もちろん、私たちで、また他の団体とも連携しての文科行政への働きかけも考えながら。
あるいは、行政、立法ではない司法の中に求める方法があることは明かです。旧優生保護法の憲法違反を正せたのは司法によってでした。分離教育は憲法違反だと問う方法があるのではないかとも考えます。
会員の皆さんはどう思われるでしょうか? 文科省交渉や総会に参加されていた会員の声もいただきました。他の方の声も既にいくつか会に届いています。もちろん、参加されなかった方の声もあると思います。どういう内容を求めていくのか、その方法はどうするのか、さらにさらにと考えていきましょう。

