支援学級はいらんねん!―豊中市立第七中学校跡地を府立支援学校にしないための取り組み――
大阪府・世話人 山口正和『障害』児・者の生活と進路を考える会(略称・考える会)
大阪府と豊中市が、豊中第七中学校跡地を第2の豊中支援学校にしようとしているのを知ったのは2023年の秋でした。調べてみると、2023年9月には豊中市都市経営部が議会向け資料として提出していました。しかし実際にはもっと早くから、大阪府と豊中市の間で協議が成立していたようです。
大阪ではこれまでも学校廃校跡地等を支援学校にする動きはあり、「障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議(略称・障大連)」を中心に反対運動にも取り組んできました。役所前で、障害当事者が車椅子等を並べて集会も持ちました。しかし残念ながら阻止できた例はありません。
正直言って私自身それらの集会に参加していても、どこか「よそごと」でした。足元でまさかの事態が起きてはじめて「自分ごと」になりました。遅すぎます。反省しきりで。
以下これまでの取り組みと今後の方向を報告いたします。私たちは本気で阻止しようとしています。今後ともお力添え、よろしくお願いします。
私たちは「国際障害者年を機に『障害』者の自立と完全参加をめざす豊中市民会議(略称・国障年豊中)」とともに、豊中に第2の支援学校を作らせない取り組みを重ねてきました。2023年11月には府教委、市教委、豊中市都市経営部との話し合いを持ちました。回答に納得がいかないので再質問を用意し、2回目の話し合いも持ちましたが、埒はあきません。
「向こう」の理屈は、「支援学校の新設は、ここで学んだ子どもたちが、将来にわたって、生まれ育ったまちで生き生きと暮らすことができる地域共生社会の実現に寄与する」(2023年豊中市都市経営部の議会答弁)です。文科省の答弁ではありません。これが「ともに学びともに育つ教育」を標榜する豊中市の言い分です。
市議会では「我が方」の市会議員に、「地域の子どもたちとの関係性を断つ分離教育を受けた子どもが、生まれ育ったまちで生き生きと暮らすことをいったい誰がどうやって保障するのでしょうか。今回の支援学校設置とインクルーシブ教育、地域共生の関係について市の見解をお答えください」という質問をしてもらいました。豊中市の答弁はこうです。
「ご指摘の他の議員へ向けた答弁は、従来の本市のインクルーシブ教育の考え方を大前提におこなったものです。『ともに学び、ともに育つ』教育は本市が全市的に共有する基本的な考え方です。今後も、子どもたちが、ともに学びともに育つ経験を通して共生社会の意義を体得することを最優先に取り組むことに変わりはございません。就学相談においては、これまで同様、先ずは地域の豊中市立学校における「ともに学び、ともに育つ」教育について寄り添いながらご説明を行うものです。…また、障害者団体関係者からは、「支援学校を選ぶ人も選ばない人もいる。選択肢を広げることは必要」といったご意見など、今回の学校の活用案を概ね受け止めていただいているものと認識しております。…閉校後の第七中学校に設置する府立支援学校に通学する児童生徒の皆さんは、卒業後も継続して生まれ育ち、慣れ親しんだ地域で自分らしく生き生きと生活してほしいとの思いでございます」
行政の論理というのはこういうものです。私たちはこの年の年末に「他団体」へのアンケート調査もしましたが、実際正面切って反対を唱えるのは私たちのみと言っても過言ではありませんでした。また支援学校を選ぶ(選ばされる)親が多いのも事実です。しかし、選んだのは本人ではありません。「親」です。「障害児」の親だけが「選択」させられているのです。それって行政の差別です。議員もマスコミも、そんなことには触れようとはしません。行政が、良いことをしている気になるのも当然かもしれません。
2024年に入ってからは、まず2月11日まで行われる「パブリックコメント」への取り組みを始めました。「全国連」からも反対のパブコメをいただきました。7割以上の反対意見が集まりました。それでも大阪府と豊中市は何事もなかったように粛々と進めようとしています。
考える会の事務局会議では、
・関係者への「考える会は本気」というアピールが必要 「パブコメ」で終わりじゃない
・「仲間」への呼びかけ 自分の周りや、あらゆる関係を駆使して呼びかける
・議会対策 すべての会派と懇談
・地域対策 地域への説明会等こまめに地域に入る。びらまき 校門前アピール(入学式)
・マスコミ対策
等について話し合いました。
そしてマスコミ対策を兼ねて「記者会見」(2024年5月24日大阪府庁記者クラブ記者会見室)を企画しました。記者会見の様子はYouTubeで「『障害』児・者の生活と進路を考える会」にアクセスすれば見ることができます。そのために用意したのが大阪府議会・豊中市議会への「陳情書」(別掲)および、府教委と市教委への要望書の手交です。(今後「請願書」も考えています)
2024年6月7日、私たちの再々度の質問に対する豊中市教委・大阪府教委・豊中市都市経営部経営戦略課の回答が来ました。中味はこれまでと変わりません。私たちは、さらに話し合いを求めていきます。私たちはあきらめません。全国各地のたたかいと共闘していきます。よろしくお願いします。