お悩みQ&A 普通学級では支援ができないのでと、特別支援学級を勧められています (会報2024年2・3月合併号から)

東京都・運営委員 片桐健司

〈相談〉 この春、就学です。普通学級を希望していますが、教育委員会から就学相談で、普通級では35人の中の1人なので支援できない。特別支援学級は1対1で支援できるので支援学級を勧めると言われました。普通学級で利用できる制度はありませんか。 息子は、困った時にフォローしてくれる大人がいれば大丈夫です。

〈お答え〉 普通学級であろうと、特別支援学級であろうと、学校は、どの子に対しても支援しなければいけません。それは、憲法でも障害者権利条約でも言われている、子どもたちのもつ権利です。教育委員会は、お子さんを特別支援学級に行かせるために間違った情報を親に伝えています。
 特別支援学級は、一般に8人の子どもに2人の担任がつくようになっています(注:東京都以外は、8人の子どもに1人の担任が通常のようです)。9人以上になると16人まで担任は3人になります。子どもが8人より少ないところもありますが、1対1というのはありえません。どちらかというと様々な個性を持っている子どもたちが集まっている教室で、一人の子を見ていれば他の子は見られないというのが、現実です。数や文字の学習で一斉指導というのもありますが、その子に合わせた指導というのは、あまり期待できません。必然的に、作業や運動のプログラムが多くなります。社会や理科の授業がなかったり国語や算数の授業も普通学級よりは少なめだったりします。それが良いか悪いかはともかく、学級の体制や先生の考え方にもよりますが、ある子には、ひらがなの学習を卒業するまでやっていたりします。
 最近は、特別支援学級の子が増えたので一つの学級の人数も多いところが増えましたが、地域によっては、一人のために特別支援学級を作るという所もあります。そういう所では1対1の学習が可能でしょうが、友だちもいない教室で1日同じ先生と1対1で過ごすことが、その子にとって幸せでしょうか。
 支援体制について、支援員制度などをつくっている自治体もありますが、支援員をつける、つけないは、こちらから要求することではないと思います。学校はどの子に対しても配慮(合理的配慮)をしなければいけません。学校が、その子に対して全力で支援をしようとしたときに何ができるか、行政と一緒になって考えてもらわなければなりません。その一つの方法が支援員をつけるということであれば、それも良いかもしれません。でも支援員がつくことは周りの子どもたちとの関係で良いことではありませんし、担任の支援員任せにもつながります。クラスに35人いれば、そのどの子にも担任は心を配らなければなりませんが、それは教員として当然の仕事です。

普通学級希望をぜひ実現してください。子どもは子どもの中で育ちます。クラスの仲間からたくさんのことを学んでください。1対1の学習よりずっと素敵な学びができると思います。

過去のQ&Aは、以下のページをご参照ください。

https://japaninclusiveeducation.org/qa/