お悩みQ&A 「算数ができないので高学年にはなれない」と言われましたが…(会報2024年4月号から)
東京都・運営委員 片桐健司
〈相談〉 子どもは小学校中学年です。勉強はできないのですが、元気に学校に行っています。先日、担任から「算数ができない。他の教科もできが悪い。これでは高学年にあがれませんよ」と言われました。どうしたらよいでしょう。
〈お答え〉 自信をもって高学年に進んでください。勉強ができないから、(教えてもらうために)子どもは学校に行くのです。
勉強ができないことは、いけないことではありません。勉強のできない子どもを少しでもできるように教えるのが、学校、先生の仕事です。どれだけできるかが問題ではなく、学んだことから少しでも子どもが学びとることがあったらそれを大切にしましょう。子どもができないことを強調するのではなく、学びの中から、子どもの成長の様子を見つめたいです。子どものできないことばかり言う先生には、この子には良いところはないのですかと聞いてみましょう。
テストで点数を取ることだけが、学校の学びではありません。少し前にこの欄で「できないことにも価値がある」ということを書きましたが、できる子もできない子もみんなで集まってわいわいがやがややっているのが、学校です。そこでけんかしたり、大騒ぎしたり、困っている子がいたら助けたり、そういう関係の中で、学び合うのが学校です。勉強のできる子もできない子もいて、元気の良い子もおとなしめの子もいて、そういういろいろな子がごちゃごちゃいるからおもしろいのです。
多分、先生は、高学年になって勉強が難しくなって、子どもが勉強についていけないことを心配しているのかもしれません。でも、勉強は、学びのほんの一部でしかありません。算数の計算ができるよりもっと大切なことがあるのです。正解が出せないその子は、その子なりに様々なことを考え、学んでいるということを知ってほしいです。ついていけないから、勉強していないわけではないのです。
私たちは学校教育の中で、正解を出すこと、点数を取ることだけを教えられてきてはいないでしょうか。だから、正解の出し方がわかればそれでわかったという気持ちになってしまいます。でも、大事なことは正解を出すことではなく、そこで何を考え、学びとるかということだと思います。子どもの成長の様子を大きな目で見てあげましょう。
〈お詫び〉
前号(2024年2,3月号)の「相談から」コーナーで特別支援学級の先生の人数を子ども8人に対して2人と書きましたが、東京ではそうだとしても他県では違うというご指摘をいただきました。原則は子ども8人に先生は1人だということです。東京の2人のうちの1人は加配によるもので、東京独自のものでした。お詫びして訂正いたします。
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