お悩みQ&A  看護師がやめたら、付き添いを求められた 会報2024年6月号より

東京都・運営委員 片桐健司

〈相談〉 医療的ケアが必要な小学生です。看護師がついていましたが、事情があってやめたところ、次の人が見つからないということで学校から親に付き添いを求められました。都合が悪くて親が付き添えないときは、子どもを休ませるようにとも言われました。付き添わなければいけないのでしょうか。

〈お答え〉 付き添う必要はありません。すぐにお断りしましょう。子どもの安全は、行政、学校の責任で確保しなければなりません。看護師がいない、見つからないからといって親にその負担を負わせるのは、あってはならないことです。まして親が付き添えないときに子どもを休ませろなどと言うのは、子どもの教育権を奪う言語道断の発言です。厳重に抗議しましょう。

 2021年にできた「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」には、「医療的ケア児及びその家族が個々の医療的ケア児の心身の状況等に応じた適切な支援を受けられるようにすること」と書かれています。「医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職の防止に資し、もって安心して子どもを生み、育てることができる社会の実現に寄与すること」がその法律の目的とされ、「医療的ケア児及びその家族に対する支援は、医療的ケア児が医療的ケア児でない児童と共に教育を受けられるよう最大限に配慮しつつ適切に教育に係る支援が行われる等、個々の医療的ケア児の年齢、必要とする医療的ケアの種類及び生活の実態に応じて、かつ、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体相互の緊密な連携の下に、切れ目なく行われなければならない」とあります。そして「地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を実施する責務を有する」となっています。

 学校が言ってきたことはまさにこの法律の逆をやっているわけで、法律に違反しています。それが学校独自の考えなのか、教委からの指示なのかをまず確かめてください。教委からの指示とすると教委は重大なあやまちを犯していますから、県教委等に事実を確認してください。総務省は、この3月に法律が正しく実施されているかどうか調査をすると同時に、法律に従って子どもの学校生活の安全や親の負担がないよう各自治体に通知しています。教委や学校にこのことを確認して、改善を要求してください。

 なお、医療的ケアの必要のない子でも付き添いを言われているという相談がきています。これも、もちろん付き添う必要はありませんので、はっきり断ってください。障害のある子の学校生活に親の負担をかけさせてはいけないのです。

過去のQ&Aは、以下のページをご参照ください。
https://japaninclusiveeducation.org/qa/