お悩みQ&A 中学の先生から「高校は義務教育ではないので障害がある生徒には無理です」と言われています。そうなのでしょうか? (2025年1月号より)

東京都・運営委員 孝本敏子

〈相談〉 東京都内在住です。こどもは現在、中学2年で、障害はありますが、小学校、中学校は普通学級に楽しく通ってきました。学業はなかなかついて行けていません。進路として、みんなと同じように都立の普通高校に行けたらと子どもと相談していますが、先生からは「高校は義務教育ではないので障害がある生徒には無理です。進級卒業できませんよ」と言われています。そうなのでしょうか?

〈お答え〉 小中と普通学級で過ごしてきた子どもが皆と一緒に高校に行きたいと思うのは当然ですよね。10代半ばの人が同世代と共に過ごしたいと思うのは本源的な欲求だと思います。今の社会ではそれはおおむね高校しかないのが現状ではないでしょうか。
 高校(小中普通学校も)の良いところは、40人位の同世代の中にポンと置かれる(介助者がいたとしても)ことです。通所施設や支援学校等では大人と本人という関係が中心で、「まわりは同世代の人ばかり」ということはありません。「同世代社会の中にいる」ことが高校(小中普通学校も)の良さです。

 私は東京で「『障害児・者』の高校進学を実現する連絡協議会(連絡協)」というところに関わっていますが、ご相談のような話はよく聞きます。結論から言うと、連絡協から入りつながりをもっている生徒の場合には『入学しても進級卒業できない』という事例は今までありません。」
 東京は定員内不合格を出さないので、障害がある人が多く高校に入学し卒業しています(定員オーバーであっても合理的配慮をして差別なく入れるまでに至っていないため、近くに定員割れの都立高がなく受検を諦めざるを得ない事例もありますが)。入学後も学校の無理解などいろいろありますが、学校と話し合い、連絡協もサポートし、進級卒業しています。中学の先生は進級卒業している事例を知らない人が多いです。一人で中学高校の先生と対峙するのは厳しいですが、お仲間がいれば大丈夫です。

 連絡協にご相談ください。連絡協ホームページ(https://renrakukyou.com/)もご覧ください。

 ちなみに、全国的には「定員内不合格者0」の都道府県は、24年12月発表の文科省調査(2024年度入試)によれば9都道府県(北海道、東京、神奈川、愛知、三重、滋賀、大阪、兵庫、和歌山)です。23年度も9都道府県でしたが、今年は埼玉が消え三重が入りました。
 しかし大部分の県が定員内不合格を行っています。そうした中でも、各地で「みんなと一緒の高校」をめざして頑張っている人たちがいます。
本当は高校入試をなくすべきで、早く「希望者全員入学」が実現することを願っています。

                                            以上