お悩み相談Q&A  親が付き添わないと普通学級就学はできないと言われましたが…(25年2月号より)

東京都・運営委員 片桐健司

〈相談〉 脳性まひの子です。この春就学です。不安定ですが歩くことはできます。着替えもゆっくりですが座ってできます。普通学級を希望していますが、就学相談では特別支援学校の判定が出ました。市は、普通学級なら子どもの安全のために親の付き添いが必要。ヘルパーが見つからないので特別支援学校に行くようにと言ってきます。親が付き添わなければ普通学級に入学できないのでしょうか。

〈お答え〉 親の付き添いがなくても普通学級に入学できます。就学の条件に親の付き添いを言ってくるなどということは、あってはいけないことです。就学相談というのは、あくまで子どもにとってどういう教育環境がよいかというところでの相談であって、親が付き添いするかどうかで就学先を決めるなんていうこと自体がまちがっています。インクルーシブが当然という時代に、その市の担当は何もわかっていないようです。その方は特別支援教育担当の方とお聞きしましたが、そういう方が就学相談の窓口にいることが問題ですね。
 子どもの安全のためと言っていましたが、もし親が付き添わなければ子どもの安全は保障しないと言うのでしょうか。それこそ公教育ではあってはならないことです。他の子の安全は保障します、「障害」児の安全は保障しませんというのは明らかな障害による差別です。今は、医療的ケアの必要な子にも法律によって学校での安全が保障される時代です。「子どもの安全のために」は、その子を普通学級に入れさせないための親への脅しになっていることを見ぬきましょう。公教育の責任ある立場の人がこういう脅しをするなんて許されませんね。
 親の付き添いも、教委や校長によっては当然のことのように言ってくる人がいますが、これも「障害による差別」になります。学校教育は、親のいないところでの教育の場です。たとえ、親が付き添える状況があったとしてもしてはいけません。子どもにとって良くないとはっきり断りましょう。行政、学校が、責任をもってあらゆる努力をして子どもの学校生活を守らなければいけません。ヘルパーが見つからないというのも、親を付き添わせるための言い方にすぎません。それだけの努力をしているかどうか聞いてみましょう。
 教育を受ける権利は憲法によって保障されています。普通学級の希望についても、障害者基本法によって親子の希望が尊重されるようになっています。ただ、相手は親を言いくるめることにたけていますから、言い負かされないように細かいやり取りなど、全国連絡会に相談しながら対応してください。