お悩みQ&A 担任が子どもの障害をクラスの子どもたちに説明したが…(会報2025年11・12月号から)
東京都・運営委員 片桐健司
〈相談〉 中学生です。発達障害です。子どもが、いろいろ問題をおこすので、困ったなとは思っているのですが、ある日、先生がうちの子どものことをクラスの子どもたちに説明したというのです。親の方には何の相談もなく、「Aさんは〇〇障害です。この障害は、勝手なことをしたり、わがままだったりします。皆さんは、この障害を理解してあげて、仲良くできるようにしてください」。周りの子どもたちは、それ以後、うちの子を理解するどころか「あいつは〇〇障害だってさ」「障害者がこのクラスにいていいの」「障害があるからって、勝手なことをしたらゆるせない」などと言われ、いじめの対象になってしまいました。担任が、子どもの障害のことを、本人や親の了解もなく、他の子に言ってよいものなのでしょうか。
〈お答え〉 本人や親の了解もなく、子どものことを第三者に言うことはあってはなりません。障害に限らず、その子の出身、家庭生活、病気などプライバシーにかかわる情報は、大切にされなければなりません。
被差別部落出身の子が、クラスのみんなの前で自分が出身であるということを伝え、クラス全体が差別の問題に取り組んだという例はありますが、それができるまでには、本人も周りもさまざまな取り組みと努力をしてきたという経過があります。
かつて、テレビ番組で発達障害の子が自分の障害をみんなに伝え、とてもよい関係がクラスの中でうまれたというような報道がされたことがありました。それはそれですばらしいことだったと思うのですが、それを見ていたどこかの先生が、自分の教室でも同じことをしようと、本人に自分の障害のことをみんなに話させたということがありました。本人は、あまり納得していなかったのですが担任に言われ、仕方なく話したところ、その子はクラスの中で理解されず、かえって誤解をうんで人間関係がうまくいかなくなり、学校に行けなくなってしまったという相談をうけたことがあります。
自分のことをみんなに伝える(カミングアウト)というのは、その人の人生の中で大切なことではありますが、その人の覚悟、周りとの関係づくりなど、十分な環境を整えることが必要です。 その人だけが特別ではなくてみんな同じ課題をそれぞれに抱えていることを理解し合い、お互いの違いを認め合う関係ができて、それはできることだと思います。そういうときにわざわざ障害名など言わなくても、なんだ,自分もその子と同じだ、と考えることで関係が育っていくのだと思います。この子がそういう行動をおこすのはその子なりに困っていることがあるんだ、ということがわかり合えることが大切だと思います。

