文科省定員内不合格調査(4年目)の公表を受けて (会報2026年2月号より)

運営委員 高校担当

「令和7年度高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」が昨年(2025年)12月26日に文科省のホームページで公表されました。その中の「志願者数が定員に満たない場合の対応等」(26~29ページ)で、定員内不合格となった者の数(延べ数)などが載せられています。以下、調査の記述に沿って問題点等を指摘します。
 定員内不合格となった者の総数は1770人で依然として非常に多いです。昨年度(令和6年度)は2029人で、それに比べると259人減っていますが、全体的な生徒数減による受験者数減もあり、そのために減ったことも考えられます。全国で入学者選抜を実施した公立高校数(実数)は昨年度3333校で、今年度は3305校と28校も減っていますが、定員内不合格があった学校数(実数)は前年度も今年度も549校と変わっていないというのは、定員内不合格を出した学校の割合が増えていることにもなります。100人以上も出している県が4県もあり、沖縄では200人を超えることが続いています。最終の日程において実施される選抜での定員内不合格となった者の数(延べ数)は、昨年度626人から今年度は500人と減っています。ただ、中には定員内不合格者数は減っているのに、「最終の日程において実施される選抜」において定員内不合格となった数が増えている県もあり、依然として厳しい状況です。

《定員内不合格は減っているが》
 定員内不合格者数0は、昨年度は北海道、東京、神奈川、愛知、三重、滋賀、大阪、兵庫、和歌山の9都道府県でした。今年度は10都道府県で、埼玉は昨年度1人出されていましたが0となり、新たに茨城県が0となりました。和歌山では今年度わずかに不合格が出されています。
 千葉は昨年度28人、今年度は9人と減ってきています。さらに0をめざして高教組への要望や、県議会での質問、地域の団体との連携など根気強く取り組みが続けられています。
 新潟、奈良、和歌山、熊本ではわずかに(1人~5人の場合は、個人の特定を避けるため、*と表記している)定員内不合格者を出していますが、最終の日程において実施される選抜では0となっています。長野は不合格を6人出していますが、最終の日程において実施される選抜では0となっています。このことについて長野の会員の方から受験状況について県教委に問い合わせていただいたところ、0というのは最終の日程における選抜の受験者で定員内不合格が0であったということで、その6人がいづれかの高校(公立・私立)に入れたのか、進学先が定まらなかったのかは把握していないということでした。最終の日程における選抜が0であっても、再受験をあきらめて定員内不合格を出されたままの人もいると考えられます。
 昨年度から「進学希望があるにも関わらず進学先が定まらなかった者の数」の調査が行われていますが、定員内不合格を出している県のほぼ全部が「把握していない」と答えていて、千葉と鹿児島だけは回答しています(*と表記しているため数は明らかではありませんが)。公立高校の定員枠は公約ですので、定員内不合格を出した生徒のその後の進学先などを把握する責任があると思います。

《 定員内不合格が増えたのはなぜ? 》
 今年度定員内不合格が増えた県は12県です。広島は大きく増えて110人となっています。文科省で公表されるようになった2022年度(令和4年度)は95人で、その後徐々に減ってきていて、おしゃべり会など地元での取り組みを積み重ねながら知的障害のある生徒も入学しているとの報告もあるのに、なぜこのような結果になっているのでしょうか。京都はこれまでわずかであったのに、22人も出されています。また、福岡でも昨年度高教祖組合員が議員に働きかけて議会で質問するなどの動きの中で、100人以上だったものが半分ほどに減っていたのですが、今年は若干増えています。なぜ続けて減っていかないのか。文科省の通知をどのように受けとめ、どのように指導しているのか。その年の県の担当者や高校の管理職などの姿勢で変わっていいものなのか。定員内不合格への問題意識の低さ、適格者主義の根強さを感じます。さらに、高校無償化の影響で私立に流れ定員割れが増えていることから、レベルが下がることを怖れて定員内不合格を出しているのではないかという声も聞かれます。

《 文科省はもっと踏み込んだ施策を 》
 「志願者数が定員に満たない場合の合否の決定に関する方針」では「原則として定員内不合格を出さないよう取り扱っている」に〇を付けている都道府県が1県(岐阜)増えて26
になっています。一方、「各校長の判断に委ねられている」に〇を付けている県は17県です。「原則として定員内不合格を出さないよう取り扱っている」とする県が増えていくことは望ましいことですが、現実には定員内不合格を多く出している県もあり、減っている傾向とは言いがたく、文科省は丸を付けさせるだけできちんと指導しているのかどうかが問われます。
 「障害のある生徒に対する配慮」(38ページ)では、問題文等へのルビ振りなど「実施されている配慮」の数を障害種別に載せていますが、全国の総数をまとめたものであり、都道府県別に実施されている状況やその他の配慮の詳細がわからないものになっていて、実際の受験で活かる形になっていません。
 文科省は、定員内不合格は直ちに出してはいけないということではないとしていますが、そのようなことをわざわざ通知することよりも、校長の意識を変えていくための内容を通知し、教員の労働環境や施設・設備、人的配置などを整備するための予算を確保することに力を注ぐべきです。

《 公立高校で一緒に学びましょう 》
地域格差が言われていますが、地方で定員内不合格がさらに増えています。高校の無償化の影響で定員割れが多くなり、学級減や統廃合につながっていきます。公立高校の危機です。それは地域そのものの衰退にもつながります。定員内不合格を出している場合ではありません。公立高校は一部のエリートを育てるところではなく、だれをも受け入れて育てていくところです。
 高校受験も直前になってきました。小中学校で一緒に学んできた、その学びを途切れさせないために、また、別の場で学んできてもみんなの中で一緒に学べるように、入学を実現していきましょう。