お悩みQ&A 学力至上主義も大切ではないですか? (会報2025年8月号より)
東京都・運営委員 片桐健司
〈相談〉 ぼくは今まで、「勉強こそいちばん大事」と思っていました。今でも、英語、法律(後者は大学生以来)、読書などを精励しているつもりです。「障害児を普通学校へ」の話も少しわかるのですが、「学力至上主義も、かけがいないように思えてなりません」。
この僕の考え方に、何か参考になる感想をお寄せください。(A)
〈お答え〉 「学力」というのは、確かに大切なものだと思います。私は、英語が不得意で、もう少し英語を勉強しておけばよかったなあと思っています。中学生の頃、英語のテストの成績はよかったのですが、テストの点数と英語の力とはちがっていました。テストの点をとるための学力と英語を使える学力は違っていたのですね。でも、今英語ができないことが自分の生き方をダメにしているとは思いません。できた方がいいけれど、英語をしゃべる人と話すときには、誰かに助けてもらっています。
私はある時期に手話を習ったことがありました。途中で病気になって挫折したのですが…。でも、かつて付き合っていたろうの友だちとは、けっこう楽しく会話できました。手話の技術は未熟でも、気持ちが通じて楽しく話せた記憶があります。
「学力」は何のために必要かと言えば、自分が楽しく生きるとか人と楽しく付き合うためかと思います。自分の言いたいことがうまく言えるのも「学力」と思います。人の話を聞き取るのも「学力」と言えると思います。私の担任したクラスにうまく話すことのできない子がいたときに、子どもたちは、その子が何か言うとすると、何を言っているのかを一生懸命聞き取っていました。これは、しゃべるほうの子にしても聞く方の子にしても、テストの点数にはあらわれない、あるいは学校では普通習わない、すごい学力だと思います。
みんなで生きていくためには、お互いがよりよく生きていくための「学力」があったらいいなあと思います。それは誰かに強制された学力でも、テストの点数にあらわされる学力でもなく、その人が楽しく生きていくためのものだと思います。それは人によってちがっていいものだと思います。私は教員でしたから、一応、決められた学習内容を子どもたちに身につけてほしいと思っていましたが、それは強制するものではないし、ちがった価値観で「学力」を子どもがつけていったらそれも大事にしてあげたいと思いました。子どもはいろいろあっていいと思うので、いろいろなその子なりの学力を身につけてほしいと思うのです。
その方からの返信 それが広い意味の学力なのですね。この世には困難なことがたくさんあります。そして、どれも自分が生き、成長していくには優劣を付けられない重要なことですね。人を大事にし、思いやり、愛情を持ち、相手を助ける、というのが学力(=生きる力)の基本になる、と理解しました。皆で協力して暮らす共生の世界が必要だ、と気づくのも、生きる力を育むことで生まれる、と思いました。(A)

